自分が動かなくても、 光は宇宙で一番早いスピードで勝手にやってくる

壁に小さな穴さえ開けておけば

周囲は光のビームに応えて、変化。溶けて形を失い、 砂丘のように地平に近づく

その時、とても小さく聞こえた

発される前に呑み込まれた声、 閉じ込められた轟音

切り取られたものは見えないところで、 勝手に成長し、破壊され、片付けられた

火がつき、光が灯り、水が湧いてくる

あたりから樹々の議論が聞こえ、 葉っぱたちは身を削って音を出す

凍てつく沈黙にいたるまで

2017年9月 

ふっとした瞬間に、ある光が目の中だけではなく、心のなかへ差し込む。 静かに何かが芽生え始め、目覚める。それからどれぐらいの時間の経過で、 思いが変質し始め、記憶へと変わっていったのだろう、と私は思った。

 

ABSCURA: abstract obscura.

十年間、転々としてディアスポラに旅生活を送ってきた。東京でひとり暮らすアパートを舞台に、国の両親を呼んで、短期間暮らしながら写真を撮った。そのほかに登場するのは、自分自身と部屋にやってきた親密なる他者。20平米足らず空間の中での撮る・撮られる行為は、意識と無意識の領域を横断し、 親密なる人間の存在を異なる座標で捉え直すことであった。

 

他人と共有する世界を経験したあとの沈殿物、自分しか知り得ない世界に対する検証、抽象的な暗箱に集められたイメージは、やがて「いま」という時空の拡がりのなかで漂いつづけ、失わせつつある記憶の物質である、と私は思った。

2017年12月 

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